
投稿日:2025.07.16
サントリー山崎55年は300万円で販売され、オークションで8,500万円もの値段が付いたウイスキーです。
本稿では、山崎55年が高額な理由やオークション落札額の推移、2025年7月現在の実売価格を説明しています。
また、現在の高額なウイスキーベスト10を紹介。山崎55年の特異さが実感できますし、それぞれの特徴を知ることで、市場価値の高いボトルの傾向も見えてくるでしょう。
サントリー山崎55年の定価は300万円(税別)

サントリー山崎55年が発売されたのは2020年のこと。
それまでのサントリーの最高額だった、山崎50年の100万円を大きく上回る300万円という定価(希望小売価格)が話題になりました。
そして、さらに大きな話題になったのは、山崎55年が8,500万円で落札されたというニュースです。
発売後まもなく、香港で開催されたオークションでのことでした。
まずは、山崎55年について、細かく見ていきましょう。
限定数量100本
山崎55年は、たった100本しか販売されませんでした。
山崎50年が販売されたのは3回合計で250本だったので、100本は非常に少なく、当然のことながら争奪戦になりました。
定価300万円もするのですから、もっと製造すればよいと感じますが、何しろ55年以上熟成させた貴重な原酒から構成されているウイスキーです。
「山崎55年の中身とは」でもくわしく解説していますが、100本しか製造「できなかった」という方が近いのでしょう。
難しいのは、55年以上熟成させたからといって、すべての原酒がおいしくなるとは限らないところです。
通常の原酒は長期間寝かせると、樽の成分が出すぎてしまいます。
山崎55年は長期熟成に耐えられた、貴重な原酒だけで構成されているのです。
特設サイトでの抽選販売
山崎50年が百貨店や専門店で先着順に販売されたのに対して、山崎55年は特設サイトで応募を受け付け、抽選ののち販売されました。
2025年に販売された山崎Story of the Distillery 2025 EDITIONや、響40年も特設サイトからの応募・抽選方式を取っているので、限定版・特別版の入手を希望する方は、公式サイトをチェックしてください。
山崎倶楽部などのメール会員になっておくのも、よい方法でしょう。
山崎55年の中身とは
1964年以前に蒸留された、選りすぐりのモルト原酒で構成されています。
主な原酒は1964年に蒸留したホワイトオーク樽熟成モルトと、1960年に蒸留したミズナラ樽熟成モルトですが、特に貴重なのは後者です。
ミズナラはサントリーが樽材として世界で最初に実用化した樹種だけに、1960年から60年も熟成されていたミズナラ原酒は、サントリーしか持っていないはず。
しばしば伽羅や白檀にたとえられるミズナラ原酒の香味が、超長期熟成でどのように変化しているのか気になるところです。
クリスタルガラス製ボトル
ほかの山崎と同じ形状の、カガミクリスタル製の美しいボトルに収められています。
ラベルの位置には、金箔による55の文字が輝き、それまで最高額だったボトル、山崎50年を上回る風格に仕上げられています。
豪華なパッケージ
山崎55年は中身と同様に、パッケージも豪華です。
- 山崎55年本体ボトル
- 山崎55年ミニボトル
- ダンボール箱、外箱、木箱
- カード
- 専用冊子
- 購入御礼など
- ミニボトル用冊子、箱
本体ボトル以外に50ml入りのミニボトルがセットされているのは、まずは気軽に楽しんでほしいというサントリーの配慮でしょう。
木箱は外箱に収められており、配送用の段ボール箱に入っています。
査定の際には、付属してきた箱すべてを用意するのがおすすめです。
カードには、ボトルのIDと購入者の氏名が入っています。
山崎蒸留所のテイスティングカウンターで提示すると、山崎25年、18年、12年、NVのいずれか1杯を、定められた期間中に12回まで無料で楽しめるものでした。
購入御礼の手紙はマスターブレンダーおすすめの楽しみ方や、納品書とともに、専用の封筒に収められています。
施されている転売対策
山崎55年には付属するカード以外にも、段ボール箱や木箱、ボトル、ミニボトルのラベルに、ボトルのIDと購入者の氏名が入っています。
手にした方は自分だけの山崎55年という喜びが味わえますが、転売させないというサントリーの意思も感じられます。
山崎55年は、応募時に山崎についての作文の提出が求められましたが、これも転売対策なのでしょう。
海外販売分は6万ドル
300万円という定価だけでも驚きですが、海外向けの山崎55年の定価は6万ドル(約900万円)でした。
イギリスやフランス、中国、オランダ、韓国などが対象で、免税店で購入できたといいますが、国内外の物価を考慮しても300万円と6万ドルという価格差は大きなものです。
山崎55年の落札価格は8,500万円

山崎55年の定価は300万円ですが、市場価格はそれどころではありませんでした。
2020年8月に開催された、香港・ボナムズのオークションで山崎55年についた価格は620万香港ドル、日本円で8,500万円を超えるものです。
発売直後のオークションだけに、サントリーの正規品を購入できなかった富裕層が金に糸目をつけず競り合い、高騰したかのように思えました。
しかし、実際は違っており、山崎55年の市場価格がそれくらいになっているようです。
ヤフオクでの落札価格も8,300万円超
2025年現在、ヤフーオークションで確認できる、山崎55年の出品履歴は2件で、いずれも8,300万円を超える価格で落札されています。
入札件数から、いずれも競り合った結果と推測できるので、2021年ごろの山崎55年の市場価格は8,000万円を大きく上回るものだったと考えられます。
| 落札日 | 落札価格 | 入札件数 | 備考 |
| 2021年2月21日 | 8,310万1,000円 | 23件 | |
| 2021年2月22日 | 8,315万1,000円 | 9件 | 本体ボトルと木箱のみ |
2025年の山崎55年実売価格
それでは、2025年7月の山崎55年の実売価格はどれくらいでしょうか。
「世界で最も高価なウイスキー」によると約6,239万円で、2021年と比べるとずいぶん下がりましたが、それでもランキングの1位となっています。
「世界で最も高価なウイスキー」は、世界で最も影響力があるとされる酒類のサイト「ワイン・サーチャー」が調査した、平均販売価格のランキングです。
2024年ごろから中国の景気低迷により、ジャパニーズウイスキーの相場が下落していますが、それが山崎55年の販売価格にも影響しているようです。
【2025年版】高額なウイスキー・ベスト10

山崎55年ほどではないものの、世界には多くの高額なウイスキーが存在しています。
ここからは、2025年7月の「世界で最も高価なウイスキー」から、高額なウイスキー・ベスト10を紹介していきましょう。
ベスト10で目立つのは、8本をランクインさせているザ・マッカランです。
マッカランはスコットランド・スペイサイドにある蒸留所で、シングルモルトのロールスロイスと称されています。
1824年に創業しており、スコットランドで最初に蒸留ライセンスを獲得したという名門で、高いクオリティから世界中で愛されています。
それでは、山崎55年に次ぐ価格で販売されている、高額なボトルを紹介していきましょう。
2位:ザ・マッカラン ザ・リーチ81年 約3,232万円

ウイスキー史上でもまれな、81年という超長期間熟成を経た原酒が収められています。
ビン詰めされたのは1940年蒸留のニューメイクで、マッカラン伝統のシェリー樽で熟成され、2022年に288本限定で販売されました。
定価は9万2,000ポンド(約1,440万円)ですが、販売価格はそれを大きく上回っています。
3つの手のひらがフラスコのようなボトルを支える独特のデザインは、彫刻家・アラン・シャッハによるものです。
3位: ザ・マッカラン ラリック62年 約3,012万円

マッカランの62年はラリック・シックスピラーズ・コレクションの一つとして、2014年に、400本限定で販売されました。
ラリックは19世紀から20世紀にかけて活躍したデザイナー、ルネ・ラリックがルーツのクリスタルガラスブランドで、コレクションすべてのボトルを手掛けています。
シックスピラーズとはマッカランを支える6本の柱のことで、62年はその一つであるマッカランの敷地内の邸宅、イースター・エルキー・ハウスをイメージしたものです。
4位:ザ・マッカラン タイム:スペース 約2,932万円

マッカラン創業200年を記念して2023年に販売されたもので、2位のザ・リーチを上回る、84年熟成のモルトが収められています。
面白いのは超長期熟成モルトを収めたボトルに、5年熟成モルトを収めたボトルが添えられているところで、マッカランの過去と未来をイメージしています。
写真は組み合わせたボトルを上から見たところですが、外側が84年熟成、内側が5年熟成です。
5位:ザ・マッカラン アニバーサリーモルト50年 約2,580万円

1926年と1928年に蒸留された、3種類の原酒から構成されているボトルです。
1983年に500本限定で発売された当時の定価は50ポンド(約1万8,000円)でしたが、現在は約2,580万円で販売されるまでになりました。
当時のマッカランの会長直筆の鑑定書やオリジナルの木箱が付いた、完璧な状態のものほど高額で取引されています。
6位:ザ・マッカラン ラリック57年 約2,397万円

57年はラリック・シックスピラーズ・コレクションの第3弾として、2009年に400本限定で販売されました。
独特のボトルデザインはラリック社が伝統的に得意とする香水瓶を模しており、同時に厳選したニューメイクしか使わないという、マッカランの6本の柱の一つを表しています。
7位: ザ・マッカラン ラリック65年 約1,927万円

65年はラリック・シックスピラーズ・コレクションの最後として、2016年に450本限定で販売されました。
ラリック社が持つ技術が存分に生かされたボトルは、マッカランを支える職人たちを表しており、彼・彼女たちの技術から比類なき1滴が生み出されることを伝えています。
8位:ゴードン&マクファイル・グレンリベット80年 約1,907万円

1940年に蒸留されたグレンリベットのニューポットを、ゴードン&マクファイル社が購入し、2020年に250本限定で販売されたものです。
ゴードン&マクファイルは1895年創業の独立系ビン詰め業者で、樽の選択や熟成期間を独自に決定しています。
今までに100以上の蒸留所と取引をおこない、350以上のボトルをリリースしてきました。
グレンリベット蒸留所は1824年にスコットランド・スペイサイドで創業、同銘柄は2025年現在、世界で最も売れているシングルモルトです。
9位:ザ・マッカラン ザ・レッド・コレクション74年 約1,769万円

ザ・レッド・コレクションは、マッカランのイメージカラーである赤に由来するシリーズで、ラベルには大きな赤色の文字で熟成年数が記されています。
2025年現在、7種類が販売されていますが、74年は2023年に販売されたボトルで、78年、77年に次ぐ、超長期熟成ボトルです。
10位:ザ・マッカラン イン・ラリック72年 1,731万円

美しい蒸留棟と見学棟の完成を記念して、2018年に600本限定、定価は6万ドルで販売されたボトルです。
建築がさまざまなスペシャリストたちの仕事の結晶であるのと同様に、ラリック製のボトルや王室御用達の家具メーカー製のケースが、72年熟成のウイスキーと共鳴しています。
まとめ
高額で販売されているボトルは高いブランド力、希少性などが共通していますが、何とも不思議なのは、トップ10で1位の山崎55年です。
ザ・マッカランにくらべるとブランド力は貧弱ですし、熟成年数も55年でトップ10の中では短い部類です。
にもかかわらず、2位の倍近くの金額で取引されているのはなぜなのか。
考えることで、山崎55年だけでなく、ジャパニーズウイスキー全体のこれからの価格動向が見えてきそうです。
弊社サケウルでは、記事中で紹介した高額なウイスキーの買取も大歓迎いたします。
とはいえ、査定には慎重にならざるをえないので、十分な時間をいただけるようお願いいたします。



