投稿日:2025.05.21

2024年は国産ウイスキーが主でしたが、2025年は輸入ウイスキーが次々と値上げされています。

本稿ではウイスキーが値上げされる理由や、スコットランド特有の事情を解説しています。

あわせて、スコッチ・ウイスキーを中心に、値上げ前と値上げ後の税込価格や、値上げ額・率をまとめており、銘柄やボトルごとの動向がわかるでしょう。

ウイスキーが値上げされる理由

ウイスキーの値上げが続いています。

2025年に入って目立つのは輸入ウイスキーで、スコットランド産シングルモルト・ウイスキーの中には80%近く値上がりしたボトルも見られます。

ここでは、なぜ輸入ウイスキーが値上げされるのかを考えていきましょう。

不安定な世界情勢

不安定な世界情勢により生じた物価の高騰は、輸入ウイスキーの値段にも影響を与えています。

たとえば原油の値上がりは輸送コストの上昇に直結しており、ウイスキーの原料である大麦や小麦、トウモロコシの価格も上がっています。

続く円安傾向

円安傾向の継続は、輸入ウイスキーの価格を割高なものにします。

2025年5月には1ドル140円前後で推移していますが、2021年ごろの110円と比較すると、同じウイスキーを輸入するのに1.3倍ほどの金額を支払わなければならない計算です。

今回おもに取り上げるのはスコットランドのウイスキーですが、決済通貨の多くにドルが使われています。

ウイスキーの需要増

世界的に増加するウイスキー需要は、この先も右肩上がりと考えられます。

とはいえ需要が増えても供給を増やせないのがウイスキーで、樽熟成の期間を考えるなら、増産の結果が出るのは早くても数年後です。

需要が増えても供給が少ないままなら、市場原理により値段は上がってしまいます。

スコッチ・ウイスキーの値上げ

輸入ウイスキーの値上げで目立つのは、スコッチ・ウイスキーの銘柄やボトルです。

たとえば、モルト・ウイスキーのロールスロイスことザ・マッカランのシェリーオーク30年は約24万円、実に44%以上の値上げとなっています。

ウイスキーの値上げ・スコットランド特有の事情

ウイスキーが値上げされる理由はすでに見た通りですが、ここからはウイスキーが値上げされる、スコットランドならではの事情を見ていきましょう。

【続くシングルモルト・ブーム】

シングルモルト・ウイスキーの人気が高いのは、スコッチウイスキーでも同じです。

ブレンデッド・ウイスキーに飽き足らない方々が、産地や銘柄ごとに明確な個性を持つ、シングルモルト・ウイスキーの魅力に目覚めたからでしょう。

ザ・マッカランの貴重なボトルに4億円超の値段が付いたのは極端すぎる例ですが、シングルモルトブームのあらわれと見ることもできます。

【ブレンデッド・ウイスキーの需要増】

シングルモルトの人気が高いとはいえ、世界的に見ればウイスキーといえばブレンデッドであり、現在のウイスキー人気はブレンデッド・ウイスキーが中心です。

ところが、ブレンデッドの増産の割を食うのは、シングルモルトの蒸留所です。

自社ブランドで製造・出荷していたウイスキーまで、ブレンデッド・ウイスキーの製造に回す必要が出てきます。

スコットランドのシングルモルト・ウイスキー蒸留所の多くは、自社ブランドのウイスキーとブレンデッドに回すウイスキー、2種類の需要増に悩まされているのです。

【シェリー樽の不足】

スコッチ・ウイスキーを熟成する樽の不足も、増産が難しい理由のひとつです。

多くがシェリー樽で熟成されているのがスコッチ・ウイスキーの特徴ですが、近年、樽が不足しています。

シェリー樽とはシェリー酒の熟成に用いた樽のことですが、モルトウイスキーの増産にシェリー酒の製造が追い付かず、適した樽の入手が難しいというのです。

ザ・マッカランの入門ボトル・ダブルカスク12年は、伝統のシェリー樽とアメリカン・オークのシェリー樽で熟成した原酒で構成されています。

このようなボトルが登場しているのも、樽不足の影響によるものでしょう。

スペイサイド産・スコッチ・ウイスキーの値上げ

スペイサイドとは50もの蒸留所が集中するスペイ川流域のことで、スコッチ・ウイスキー6大生産地のひとつです。

マッカランなど名門が多く、アイラ島とならびスコッチの聖地と呼ばれています。

製造されるモルトウイスキーはバランスがよく華やかで、ブレンデッド・ウイスキーの原酒としても、よく用いられています。

【ザ・マッカラン】

シェリーオーク25年や30年のような、高額なボトルほど値上げ率が高いのは、サントリーの値上げでも見られた傾向で、ほかの銘柄でも共通しています。

ボトル名旧価格新価格値上げ額値上げ率
ダブルカスク12年9,040円9,900円860円9.5%
シェリーオーク12年12,500円13,500円1,000円8.0%
シェリーオーク18年52,000円62,000円10,000円19.2%
シェリーオーク25年280,000円360,000円80,000円28.6%
シェリーオーク30年550,000円796,000円246,000円44.7%

【グレンフィディック】

手ごろでうまいと評判だった、入門ボトル・12年が高い値上げ率になっています。

いち早く自社ブランドでの製造・販売に乗り出したことで知られる蒸留所です。

ボトル名旧価格新価格値上げ額値上げ率
12年5,060円5,930円930円18.4%
15年9,360円9,900円540円5.8%
18年15,400円16,810円1,410円9.2%
21年36,300円43,150円6,850円18.9%

【スペイバーン】

レギュラーラインナップは、入門ボトルのNA・ブラダンオラックや10年などですが、今回は上位ボトルの15年と18年が値上げされました。

ボトル名旧価格新価格値上げ額値上げ率
15年10,500円12,000円1,500円14.3%
18年13,600円15,000円1,400円10.2%

【モンキーショルダー】

大手スコッチウイスキーメーカー、ウィアム・グラント&サンズの銘柄で、スペイサイド地方の蒸留所のシングルモルトで構成された、ブレンデッドモルトウイスキーです。

ボトル名旧価格新価格値上げ額値上げ率
オリジナル4,080円4,920円840円20.6%
スモーキー・モンキー4,500円5,730円1,230円27.3%

【バルヴェニ―】

地元産の大麦の使用やフロアモルティングなど、昔ながらの製法にこだわり続ける蒸留所で、バッティング後の熟成にも定評があります。

ボトル名旧価格新価格値上げ額値上げ率
12年・ダブルウッド6,700円10,310円3,610円53.9%
14年・カリビアンカスク11,000円16,790円5,790円52.6%

ハイランド産・スコッチ・ウイスキーの値上げ

ハイランドはスコットランド北部の山がちな地域で、スコッチ・ウイスキー6大産地のひとつ。

地理的にはスペイサイドも含まれていますが、ウイスキー産地としては別のものと考えます。

広大な地域にさまざまな蒸留所が存在していますが、繊細さや飲みやすさ、ピート香の弱さが特徴です。

【グレンゴイン】

ノンピートモルトで知られる蒸留所がいずれのボトルも大幅な値上げになったのは、厳選したシェリー樽の利用と無縁ではないでしょう。

ボトル名旧価格新価格値上げ額値上げ率
10年4,450円7,180円2,730円61.3%
21年18,700円26,200円7,500円40.1%

【グレンドロナック】

ティーチャーズのキーモルトとして知られる銘柄はプレミアムな21年が大幅値上げ、こちらも熟成にシェリー樽を使用しています。

ボトル名旧価格新価格値上げ額値上げ率
12年7,510円7,890円380円5.1%
21年・パーラメント23,500円39,950円25,900円58.8%

【オールドプルトニー】

ハイランドなのに、アイラやアイランドモルトのような塩っぽさで評判の銘柄は、SWSC金賞に輝いたボトルを大幅に値上げしています。

ボトル名旧価格新価格値上げ額値上げ率
18年19,000円23,000円4,000円21.1%

【バルブレア】

25年で驚きの値上げをおこなったのは、バランタインのキーモルトとして知られる蒸留所。

小規模ながら美しい蒸留所は、映画の舞台にもなりました。

ボトル名旧価格新価格値上げ額値上げ率
15年12,500円14,500円2,000円16.0%
18年20,500円24,000円3,500円17.1%
25年75,000円130,000円55,000円78.6%

アイラ産・スコッチ・ウイスキーの値上げ

スコットランドの西方に浮かぶアイラ島は、強い個性を持つ蒸留所が集まっており、スペイサイドとならぶウイスキーの聖地とされています。

ヘビースモーキーと称される強いピート香には、とりこになってしまうような魅力があり、世界中にファンを持っています。

【ブナハーブン】

大幅な値上げになりましたが、それでも手ごろ感があるのが25年です。

アイラ・モルトには珍しくピート香も弱いので、長期熟成ウイスキーを試してみたい方におすすめです。

ボトル名旧価格新価格値上げ額値上げ率
12年6,980円10,700円3,720円53.3%
25年44,500円70,400円25,900円58.2%

アイランズ産・スコッチウイスキーの値上げ

スコットランド北方の6つの島で造られているウイスキーは、まとめてアイランズと呼ばれています。

値上げしたハイランドパークは、スコットランド最北端にある蒸留所で造られるものです。

【ハイランドパーク】

アイランズ・モルトで最も高い完成度と称される銘柄で、値上げ後も12年はまだ手の出しやすい価格帯にとどまっているのがうれしいところです。

ボトル名旧価格新価格値上げ額値上げ率
12年6,000円7,000円1,000円16.7%
15年15,000円16,500円1,500円10.0%
18年21,000円24,000円3,000円14.3%
40年630,000円800,000円170,000円27.0%

ブレンデッド・スコッチ・ウイスキーの値上げ

スコッチ・ウイスキーの値上げは、ブレンデッドとも無縁ではなく、グランツ・トリプルウッド・8年の値上げ率が目立ちます。

とはいえ、これらのボトルはまだまだ手が出しやすい水準で、スコッチウイスキーの入門編としてありがたい存在です。

ボトル名旧価格新価格値上げ額値上げ率
グランツ・トリプルウッド1,530円1,600円70円4.5%
グランツ・トリプルウッド・8年1,900円2,540円640円33.7%
グランツ・トリプルウッド・12年2,950円3,530円580円19.7%
フォートウィリアム1,377円1,530円153円11.1%
ネヴィス・デュー1,377円1,530円153円11.1%

そのほかの輸入ウイスキーの値上げ

2025年の値上げはスコッチウイスキーが目立つものですが、アイリッシュやアメリカンでもおこなわれています。

世界的な情勢不安や続く円安傾向といった値上げ要因の深刻さが感じられますが、しばらく値上げがおこなわれていない輸入ウイスキーの銘柄は貴重な存在といえそうです。

【ブッシュミルズ】

アイルランドに現存する最古の蒸留所にして、代表的な銘柄も値上げされていますが、高価格帯のものほど値上げ率が高いのは、ほかの銘柄と同じです。

ボトル名旧価格新価格値上げ額値上げ率
オリジナル1,920円2,030円110円5.7%
ブラックブッシュ2,480円2,810円330円13.3%
シングルモルト10年3,950円5,220円1,270円32.1%
シングルモルト12年5,150円7,170円2,020円39.2%
シングルモルト16年12,300円15,500円3,200円26.0%
シングルモルト21年27,000円35,000円8,000円29.6%

【タラモアデュー】

値段が安くて飲みやすいと評判だった、アイリッシュウイスキーの入門ボトルが値上げとなりました。

ボトル名旧価格新価格値上げ額値上げ率
オリジナル2,530円3,069円490円21.3%

【ジャックダニエル】

テネシーウイスキーの代名詞も値上げされていますが、スコッチやアイリッシュの高額なボトルとくらべると微々たるものとなっています。

ボトル名旧価格新価格値上げ額値上げ率
オールドNo.72,800円2,890円90円3.2%
ジェントルマン・ジャック3,620円3,730円110円3.0%

まとめ

2025年に入り、値上げされた銘柄やボトルを見てきましたが、やはりスコッチウイスキーの中でも高価格帯のシングルモルトが目立ちます。

それだけ、シングルモルトの長期熟成ものの不足は深刻と考えられるので、もし値上げ前のボトルをお持ちならしみじみと楽しむのがよさそうです。

あわせておすすめは、弊社「サケウル」への売却です。

値上げが発表されると買取価格も上がるのがウイスキー、購入価格を上回ることもめずらしくありません。

買取相場を知りたいという方は、お気軽に無料査定をご利用ください。

あなたのお酒ハウマッチ?

すぐに見積もり