
投稿日:2025.05.08
依然として世界的なウイスキーブームは続いており、日本でもサントリー山崎や白州の終売ボトルには、目を見張るような価格が付いています。
とはいえ山崎や白州にプレミアがついているのは、レギュラーボトルの話であり、世の中にはまだまだ高い値段が付くウイスキーがあるものです。
ここではオークションでウイスキーとしての最高額で落札された、マッカラン・ファイン&レア・1926・60年など、高額で取引されているウイスキーのいろいろやその理由を解説しています。
お酒の席での話のタネにぴったりですし、値段が上がるウイスキーを見つけたい方のヒントにもなる内容です。
ウイスキーの落札最高額は4億円超
オークションにおけるウイスキーの落札最高額は、マッカラン・ファイン&レア・1926・60年についた218万500ポンド(約4億1,000万円)です。
オークションは2023年にロンドンでおこなわれ、ウイスキーの落札としては史上最高で大きな話題になりました。
マッカラン・ファイン&レア・1926・60年が史上最高の落札額になった理由として、次の4つが考えられます。
- マッカランのブランド力が高いから
- ファイン&レアだから
- シリーズ最古の蒸留年、最長の熟成年だから
- レアなボトルだから
それぞれを深堀していきましょう。
マッカランのブランド力が高いから
マッカランはスコットランドにある6つのウイスキー産地のうち、スペイサイド地方にある蒸留所の名前です。
スペイサイドは本来ハイランド地方に含まれますが、50以上もの蒸留所があることからウイスキーの聖地とする人も多く、ハイランドとは別に考えるのが一般的です。
スペイサイド地方にある蒸留所はザ・グレンリベット、グレンフィディック、グレンエルギンなど名門ぞろい。
マッカランは国から蒸留ライセンスを1824年に得ていますが、これは密造酒が大流行していたころのスペイサイド地方で、ごく初期に正々堂々とウイスキー造りに取り組んだ証明です。
聖地・スペイサイドの名門中の名門といえるでしょう。
マッカランのことをイギリスの百貨店・ハロッズは、シングルモルトのロールスロイスと呼んだとか。
現在の世界的なシングルモルトブームのけん引役ともいえる存在で、ブランド力は抜群といえるでしょう。
ファイン&レアだから
ファイン&レアとは、マッカラン蒸留所のヴィンテージ・ウイスキーのシリーズ名です。
すべてシングルカスクですが、これはほかの樽の原酒と組み合わせることなくビン詰めされたウイスキーのこと。
マッカランが所蔵する多数の樽の中で、ほかと組み合わせるのがもったいないくらい上手く熟成が進んだ、ごく稀なものぞろいだと考えてください。
ファイン&レアの特徴は、蒸留年がラベルに記されていることと、金具付の黒い木箱に収められていることで、2025年までに60種類近くがリリースされており、いずれも高い人気となっています。
シリーズ最古の蒸留年、最長の熟成年だから
マッカラン・ファイン&レア・1926・60年の1926は蒸留された年を表しており、シリーズ最古のものとなっています。
1926年は日本では大正15年、昭和元年なので、いかに昔に蒸留されたかがわかるはず。
ちなみに、シリーズ最新の蒸留年は1993年です。
1926年に蒸留されたニューメイクはシェリー樽の263番に詰められ、60年の熟成を経た1986年にボトルに収められましたが、こちらはシリーズ最長の熟成期間。
シリーズ最短である15年とくらべると、その長さが感じられることでしょう。
ところで、マッカラン・ファイン&レア・1926・60年は40本のボトルに収められましたが、こちらは最少ではありません。
最少はファイン&レア・1957の15本で、15年という短い熟成年数にもかかわらず、希少性から1,000万円を超える価格で取引されています。
レアなボトルだから
最少が15本であるにもかかわらず、40本製造されたマッカラン・ファイン&レア・1926・60年がレアな理由は4種類のラベルが存在しているからです。
ラベルのバリエーションと製造本数、オークション落札額は次の通りです。
| ラベル名 | 製造本数 | オークション落札額 | 落札年 |
| ヴァレリオ・アダミ | 12本 | 4億円超(218万500ポンド) | 2023年 |
| ピーター・ブレイク | 12本 | 1億3,000万円超(97万900ドル) | 2018年 |
| プライベートラベル | 2本 | 2億円超(120万ポンド) | 2018年 |
| 通常ラベル | 14本 | 2億8,000万円超(150万ポンド) | 2019年 |
2024年に4億円超で落札されたのは、イタリア人の画家・ヴァレリオ・アダミの手掛けたラベルのもので、12本しか存在しないうちの1本です。
考えようによっては15本しか製造されていないので、ファイン&レア・1957よりも数が少ないといえそう。
ちなみにピーター・ブレイクとはビートルズの名盤、通称・ホワイトアルバムを手掛けたポップアーティストです。
アダミと比較すると落札額がずいぶん低いように感じますが、これはブレイクのデザインが不人気なわけではありません。
ブレイクのラベルもプライベートラベルも通常ラベルもすべて、当時のウイスキー落札の最高額を記録したものです。
つまり、ラベル違いのマッカラン・ファイン&レア・1926・60年が、それぞれ記録を更新し続けているのです。
ラベルの人気・不人気ではなく2023年に4億円超を記録したのは、ウイスキーブームが年とともに過熱していったことが原因と考えられるでしょう。
ジャパニーズウイスキーの最高落札額は8,500万円超

ジャパニーズウイスキーのオークションでの最高落札額は、サントリー山崎・55年の620万香港ドル(8,500万円超)です。
オークションは香港で2020年におこなわれ、ジャパニーズウイスキーがこんな高額で取引される時代が来たかと驚いた方も多いことでしょう。
サントリー山崎・55年がジャパニーズウイスキー最高額で落札された理由は、次の3つが考えられます。
- 山崎のブランド力が高いから
- 出品のタイミングがよかったから
- シリーズ最長の熟成年だから
山崎のブランド力が高いから
マッカランが世界のシングルモルトブームのけん引役なら、山崎は日本のシングルモルトウイスキーブームのけん引役といえます。
製造する山崎蒸留所がオープンしたのは1923年と、現存する中では国内最古。
初代の工場長はニッカウヰスキーの創業者にして国産ウイスキーの父こと竹鶴政孝です。
サントリー・山崎の登場は1984年で、日本最初のシングルモルトウイスキーになりました。
シングルモルトウイスキーとは、ひとつの蒸留所のモルト原酒のみを組み合わせたもののことで、ウイスキーといえばブレンデッドが主流だった時代には異例なこと。
シングルモルトウイスキーの時代の先鞭をつけたのが、サントリー・山崎だったのです。
日本のシングルモルトウイスキーをブームにまで引き上げたのは、山崎のブランド力があってのことといえるでしょう。
出品のタイミングがよかったから
サントリー山崎・55年が発売になったのは2020年、国内限定でわずか100本のみのリリースでした。
税込み330万円という高額な定価にもかかわらず、売り切れてしまったのを悔しがったのは、おそらく中国のウイスキーマニアだったはず。
中国におけるジャパニーズウイスキーの人気はすさまじいものがあり、同じ年に山崎・50年が2,800万円で落札された際にも、競り合ったのは中国のバイヤーだったといいます。
山崎・55年が香港のオークションに出品されたのは、完売のニュースが流れた直後です。
入手できずに悔しい気持ちでいるであろうころの出品は、ベストのタイミングといえるでしょう。
シリーズ最長の熟成年だから
それまでのサントリー山崎最長の熟成年数は50年でしたが、55年はそれを上回っています。
1964年からホワイトオーク樽で熟成された原酒や、1960年からミズナラ樽で熟成してきた原酒など、山崎蒸留所の貴重な原酒ばかりが組み合わされているのです。
シリーズ最長の熟成年ということは、これまでにない貴重な原酒ばかりが使われているということ。
日本が高度経済成長へと向かうころに蒸留された原酒たちが織りなす味は、さぞ格別に違いありません。
さらに高額で落札されたジャパニーズウイスキー
山崎55年を上回る7万2,000香港ドル(1億円弱)で落札されたのは、イチローズモルトのカードシリーズです。
オークションは香港で2019年におこなわれたもので、54本のセットだったとはいえ、ジャパニーズウイスキーの最高落札額として記録されています。
イチローズモルトのカードシリーズが1億円弱で落札された理由として、次の3つが考えられるでしょう。
- コレクター性が高いボトルだから
- ただでさえ入手困難だから
- ジャパニーズウイスキーブームの過剰ぶり
それぞれをくわしく見ていきましょう。
コレクター性が高いボトルだから
イチローズモルトのカードシリーズは、トランプの絵柄がラベルにあしらわれているのが外見上の特徴です。
クラブ・ダイヤ・ハート・スペードのエースからキングまで各13本に、特別な樽でフィニッシュしたボトルが各1本、ジョーカーが2本の合計58本で構成されています。
全58本あると聞けば、そろえたくなるのが人情でありマニアです。
カードシリーズはコレクター性が非常に高いボトルといえるでしょう。
ただでさえ入手困難だから
カードシリーズは閉鎖した旧羽生蒸留所製造の原酒を用いていますが、ジョーカーの1本をのぞきシングルカスクです。
閉鎖した蒸留所の原酒というだけでも貴重な物なのに、選りすぐりのシングルカスクばかりとなると、味わいを想像するだけでも楽しくなるはず。
当時の人気はすさまじくすぐに完売してしまい、1本を手に入れるだけでも大変な苦労をしたといいます。
それが54本もそろっているのですから、1億円弱の値段が付いてしまうのはしょうがないかもしれません。
ジャパニーズウイスキーブームの過熱ぶり
サントリー山崎・55年のケースでもいえますが、カードシリーズが高額落札された背景にはジャパニーズウイスキーブームの過熱ぶりが感じられます。
たとえば、同じカードシリーズが2015年に出費された際の落札額は379万7,000香港ドルだったとか。
4年間で2倍弱になっているのは、ウイスキーが投資・投機対象とみられ、過熱しすぎている証拠といえるでしょう。
ニュースを耳にしたベンチャーウイスキー社の土肥伊知郎社長は、けた外れの値段に驚き、飲んでもらえるか心配とコメントしています。
投資・投機対象になってしまっては、それもかなわないことかもしれません。
最高額で販売されたウイスキーは4億円弱
最高額で販売されたウイスキーは、クラフト・アイリッシュ・ウイスキー社エメラルド・アイル・コレクションの280万ドル(4億円弱)です。
今まで見てきたウイスキーの最高額は、すべてオークションで記録したものですが、コレクターに直接販売されたものとしてはこれが最高額でしょう。
ウイスキーがこんなにも高い理由は、次の3つが考えられます。
- 時計などとの豪華セットだから
- ブッシュミルズの貴重なウイスキーだから
- 7セットしかないひとつだから
時計などとの豪華セットだから
エメラルド・アイル・コレクションは、ウイスキーのボトルだけの販売ではありませんでした。
19世紀のロシアにルーツを持つ高級ジュエリーブランド・ファベルジェ社が手掛けた22金製の腕時計やエメラルドを用いたイースターエッグなど、さまざまなアイテムがセットになっています。
時計やイースターエッグ以外では、特製デキャンタやキューバ産葉巻、シガーカッターなどが、クルミ材のケースに収められているのです。
これだけの豪華セットなら4億円弱になるのも、うなずける人もいるのでしょう。
ブッシュミルズの貴重なウイスキーだから
肝心のウイスキーは北アイルランドの蒸留所・ブッシュミルズ製で、30年以上熟成を重ねたものです。
ブッシュミルズは頭にオールドを付けるのが慣例になっている、世界最古の蒸留所で創業は1608年、日本では江戸時代初期なのですから驚かされます。
高級ウイスキーといえばスコッチやジャパニーズがイメージされる中、アイリッシュウイスキーが取り上げられたのは、産地を盛り上げるよいきっかけにもなったことでしょう。
7セットしかないひとつだから
クラフト・アイリッシュ・ウイスキー社がエメラルド・アイル・コレクションを販売するのは、これが2度目です。
最初はアメリカのオークションに出品され、200万ドルで落札されたそう。
アイルランドを象徴する7つの場所にちなみ、全部で7セット用意されているといいますが、世界にそれだけしかないという希少性はやはりコレクター心をくすぐります。
ちなみに最初に落札されたセットによる収益は、小児がん患者を支援する慈善団体に全額寄付されました。
まとめ
オークションでの落札最高額、4億円超のマッカラン・ファイン&レア・1926・60年まではいかなくとも、市場で高値が付くウイスキーは共通しています。
つまり、強いブランド力があり、製造本数が少なく、入手が難しいことが高値が付く条件。
スケールは大きく異なりますが、サントリー山崎や白州の終売品がそれに当たるのです。
あわせて高く売るタイミングも大切ですが、それをたずねるのにお酒の買い取り専門店「サケウル」を利用するのもひとつの方法、当店は査定だけの利用も大歓迎です。
とはいえ、サントリー山崎・55年のような高額品の査定には慎重さが必要になるもの。
お値段を出すまでに、少々の時間をいただきますことを、あらかじめお断りさせてください。



