
投稿日:2025.04.10
国産ウイスキーの度数は主に40度前後ですが、中には37度のものや50度を超えるものも見られます。
本記事ではまず、国産ウイスキーの度数を紹介し、様々な度数がある理由を解説します。
また、アメリカやイギリスにおけるウイスキーのアルコール度数の表し方や、アルコール度数の高さによるメリット、蒸留とウイスキー製造の歴史も紹介していきましょう。
味や香りとあわせて、アルコール度数からウイスキーにアプローチするなど、違った楽しみを見つけたい方におすすめの内容です。
ウイスキーのアルコール度数は40度くらい
「度」とは角度や温度などにも用いられる単位ですが、ウイスキーを始めとしたアルコールでは「%」と同様に用いられます。
日本におけるウイスキーのアルコール度数で多いのが40度くらいですが、これは40%前後のアルコールが含まれているということです。
銘柄によっては30度台のものや、50度を超えるものも造られています。
ウイスキーのアルコール度数を決めるのは、主に加水という工程です。
樽の中で熟成したウイスキー原酒のアルコール度数は60度くらいで、銘柄に応じて組み合わされ、多くは水を加えて製品化されます。
アルコール度数が低い国産ウイスキー
- サントリー・トリス・クラシック 37度
- ニッカ・ブラックニッカ・クリア 37度
アルコール度数が低い国産ウイスキーの共通点は、販売価格の安さです。
「トリス・クラシック」と「ブラックニッカ・クリア」は、それぞれサントリーとニッカの最も安価な銘柄です。
多く加水されるほどコストダウンできることと無関係ではないでしょう。
アルコール度数が標準的な国産ウイスキー
- サントリー・山崎、白州、響・NVなど 43度
- ニッカ・余市、宮城峡・NVなど 45度
いずれもメーカーを代表する銘柄でサントリーは43度、ニッカは45度となっています。
このことからわかるのは、加水がおこなわれるのはコストダウンのためだけではないことです。
アルコール度数は低いほど飲みやすくなるとはいえ、加水しすぎると肝心の味や香りが弱まってしまいます。
サントリーは43度、ニッカは45度くらいがちょうどよい度数と考えているのかもしれません。
アルコール度数が高い国産ウイスキー
- ニッカ・フロム・ザ・バレル 51度
- キリン・陸 50度
どちらもアルコール度数が50度以上のブレンデッドウイスキーの銘柄です。
原酒を組み合わせた結果、加水は最小限にした方が魅力が伝わると判断したのでしょう。
【さらにアルコール度数が高い国産ウイスキー】
「フロム・ザ・バレル」や「陸」は少し加水されていますが、まったく加水がおこなわれていないボトルは「カスクストレングス(cask strength)」と呼ばれます。
「カスク」とは樽「ストレングス」とは強さなので、樽そのもののアルコールの強さという意味で、アルコール度数は60度くらい。
原酒の味や香りをそのまま楽しめるのが特徴です。
カスクストレングスは、しばしば限定版・特別版で目にします。
サントリーの「樽出原酒」シリーズは、カスクストレングスの代表的なものです。
少量生産品のものが多いので、買取価格が高くなる傾向です。
アメリカとイギリスのアルコール度数表示
アメリカとイギリスではアルコール度数を表すのに、日本とは異なり「Proof(プルーフ)」が用いられています。
プルーフが示す濃度は日本の度数と異なることや、アメリカン・プルーフとブリティッシュ・プルーフは違うことをおぼえておくと、たとえば海外でのウイスキー購入で役立つでしょう。
アメリカン・プルーフ
アメリカン・プルーフは半分にすると、日本の度数表示になります。
たとえば、ワイルドターキーのスタンダードである「8年」は本国・アメリカでは「101」として販売されていますが、これは101プルーフ(50.5度)を意味するものです。
日本の標準的な度数より、かなり高いことがわかります。
ブリティッシュ・プルーフ
ブリティッシュ・プルーフは0.571をかけると、ほぼ日本の度数表示になります。
19世紀のイギリスで、日本の約43度に当たる75プルーフが標準と定められました。
近年ではブリティッシュプルーフに0.571をかけた%表示のものが多くなりましたが、スコッチやアイリッシュのオールドボトルでは、75や70などブリティッシュ・プルーフ表示が見られます。
日本の特級・一級・二級表示
アルコール度数表示に似たものとして、日本における「特級」「一級」「二級」の表示があげられます。
アルコール度数による区別で、同じ量なら特級ウイスキーは二級よりも酔えることがわかりますが、元々は酒税をかけるためのものでした。
1953年に定められた酒税法では、アルコール度数に応じて税金がかけられていたのです。
- 特級 43度以上
- 一級 40度以上43度未満
- 二級 40度未満
これから気付くのは、イギリスの標準である75ブリティッシュ・プルーフが特級表示に影響を及ぼしているであろうことです。
おそらくサントリーの多くのウイスキー銘柄のアルコール度数が43度であることも、19世紀のイギリスで75プルーフが標準と定められたことと無縁ではないでしょう。
イギリス、とりわけスコットランドのウイスキーが、ジャパニーズウイスキーに与えた影響の大きさが感じられます。
【貴重な「特級」オールドボトル】
ウイスキーの級数表示は、酒税法が改正された1989年に廃止されました。
つまり「特級」などの表示があるボトルは1989年以前のもので、貴重なものかもしれないということです。
古い時代に生産されたウイスキーの一部はオールドボトルと称され、高価買取も期待できます。
近年ではオールドボトルを専門にあつかうバーも登場しており、現在のものとの味や香りの違いを感じるなどの楽しみ方で人気です。
【「従価」表示のオールドボトル】
特級表示があるオールドボトルで、しばしばみられるのが「従価」表示です。
輸入ウイスキーにかけられていた「従価税」の対象だったことを表しています。
従価税の税率は手ごろな価格帯の輸入ウイスキーで150%、高価格帯のものは220%だったとか。
前者の税率が適用されたのが「カティーサーク」などで、ジョニーウォーカー「ブラックラベル」などは後者でした。
ジョニーウォーカー「ブラックラベル」が高級品だというイメージを持つのは、年配の方に多いイメージです。
現在の店頭価格は3,000円くらいなので、あまりピンときませんが、従価税の対象だったことや昭和のころの為替レートが1ドル360円だったことを踏まえると「ジョニ黒」がいかに高額だったかがうかがえます。
輸入ウイスキーの従価税は、級数表示と同じく1989年に消費税が導入されるとともに廃止されました。
アルコール度数が高いウイスキーが好まれる理由
ウイスキーをストレートで口にすると、飲みなれていない方は高いアルコール度数の刺激に驚くものです。
それでもウイスキーが世界中に広まった理由は、アルコール度数の高さに由来する3つのメリットがあったからでしょう。
- 楽しみ方が豊富
- 保存性が高い
- 運搬しやすい
楽しみ方が豊富
水割りやハイボール、カクテルなどいろいろな楽しみ方があるのは、ウイスキーが広まった理由のひとつです。
アルコール度数が高くて飲みづらいという方は水や炭酸水で割ればよいですし、味や香りが強すぎるという方はカクテルにすれば弱まります。
アルコール度数の低い醸造酒には、ウイスキーなど蒸留酒ほど楽しみ方に広がりはありません。
世界的に売れている蒸留酒はビールやワインくらいですが、蒸留酒はウイスキー、ブランデー、ジン、ラムなどジャンルが豊富なのも、アルコール度数の高さから楽しみ方が豊富だからでしょう。
保存性が高い
ウイスキーに限らず度数が高い蒸留酒には、一般に賞味期限はありません。
輸送に時間がかかっても腐る心配がないので、世界中に広まる理由のひとつになりました。
常温で長期間の保存が可能なのは、腐敗を起こす雑菌が活動・繁殖できないからで、ウイスキーなどの蒸留酒には雑菌の栄養となる糖類やタンパク質がほとんど含まれていません。
保存状態がよければ劣化せず、風味も変わらないでしょう。
昭和のころのオールドボトルが問題なく飲めることや、売買できるのもウイスキーの保存性が高いからです。
【保存時に注意すること】
ワインや日本酒など醸造酒とくらべるとゆるやかながらも、ウイスキーなど蒸留酒も時間を経ると劣化するという説もあります。
温度変化や光、傷んだ栓は劣化を加速させる原因なので、ウイスキーなど蒸留酒は冷暗所に立てた状態で保存してください。
中でも栓の傷みは、液漏れの大きな原因にもなります。
貴重なウイスキーが目減りしないためにも、保存場所や保存方法は重要です。
運搬しやすい
ウイスキーなどアルコール度数が高い蒸留酒は、少量でも大量のアルコールが含まれています。
アメリカ大陸などにウイスキーが広まったのは、19世紀後半の輸送手段がまだ貧弱だった時代です。
アルコール度数が低い醸造酒よりも少量で酔える蒸留酒は、一度の輸送で大勢を満足させられます。
ウイスキーの大量生産が可能になったことや、蒸留酒のライバルであるブランデーが原料のブドウの不作で製造できなくなり、市場の空白ができたことも大きかったのですが。
ウイスキーのアルコール度数のデメリット
アルコール度数の高さによるメリットがある一方で、デメリットの大きさにも注意が必要です。
- 肝臓への負担が大きい
- 胃腸への負担が大きい
- 急性アルコール中毒を引き起こしやすい
- アルコール依存症におちいりやすい
これらは健康面でのデメリットですが、アルコール度数の高さから知らない間に飲みすぎて、自分を失う危険性もあります。
ウイスキーに限らずアルコール度数の高い飲み物を楽しむ際には、リスクに十分に気をつけてください。
【チェイサーの役割】
チェイサーとはウイスキーをストレートやロックでオーダーした際に、バーなどであわせて出される飲み物のことです。
主に水が用いられ、度数の高いアルコールによる粘膜への負担などを和らげるほか、急激な血中アルコール濃度の上昇を防ぎます。
ウイスキーに限らず、アルコール度数が高いお酒を楽しむのにチェイサーは必須といえるでしょう。
ウイスキーの度数が高くなる原因
ウイスキーの度数が高いのは、製造工程で蒸留がおこなわれるからです。
蒸留とは沸点の違いを利用して特定の成分だけを取り出す技術で、穀物からできた醸造酒に熱を加えることで、アルコール度数の高い蒸留酒を造ります。
それでは、ウイスキーや蒸留の歴史を見ていきましょう。
ウイスキーの歴史
蒸留の始まりは、今から5,000年ほど前のメソポタミアや中国という説がありますが、蒸留酒の製造はもっと後です。
12世紀の終わりころから13世紀の初めにワインから蒸留酒が造られ、薬として使用されており、15世紀ごろに蒸留技術がスコットランドやアイルランドに伝わったとされています。
スコットランドの記録では1494年にウイスキーが初登場しますが、1169年にはアイルランドで飲まれていたという説も。
ウイスキーの発祥地域や時期については、いまだに定説はありません。
現代のウイスキーに近いものが誕生したのは18世紀です。
それまでは樽による熟成がおこなわれず、蒸留されたすぐの状態で飲まれていました。
しかし、税金を逃れるために樽に入れて隠しておいたウイスキーを試したところ、熟成が進んでおり、琥珀色の味と香りのよい液体があらわれたとか。
1831年には一度の蒸留で高いアルコール度数が得られる連続式蒸留器が登場し、ウイスキーの大量生産が可能になり、世界中に広まっていきました。
【蒸留直後のアルコール度数】
蒸留直後のアルコール度数は、単式蒸留器と連続式蒸留器で異なります。
単式蒸留器で数回蒸留を繰り返してできるお酒のアルコール度数は60〜70度、連続式蒸留器では一気に90度前後までアルコール度数を高められます。
そして樽詰めされ熟成されますが、実際はその前に水が加えられ、アルコール度数は60度くらいに調整されています。
【アルコール度数は樽熟成で変化する】
色や香りの成分が加わったり、成分が化学反応を起こしたりと、ウイスキーは樽の中で熟成していきます。
そこでは蒸発も起こり、樽熟成では1年間で3%くらいの原酒がなくなるそう。
熟成する場所によりアルコールや水が蒸発し、度数もわずかに変化します。
樽熟成が終わるとカスクストレングスはそのまま、そのほかの多くはほかの原酒とブレンドされ、加水ののち出荷されるのです。
まとめ

国産ウイスキーの度数や度数が高くなる理由や原因について紹介し、アルコール度数からウイスキーについて解説しました。
ウイスキーの度数は飲みやすさだけでなく、味や香りを効果的に楽しめるようにに決められています。
世界中でウイスキーが楽しまれているのは、蒸留技術が確立して度数が高められたからともいえます。
また、弊社「サケウル」がウイスキーの買取ができるのも、アルコール度数が高いからです。
昭和のころに造られたウイスキーも大歓迎なので、古いお酒が出てきたなら、ぜひ一度ご相談ください。



