投稿日:2025.04.09

ウイスキーとブランデーは似ているようで、まったく異なる飲み物です。

原料も味も香りも大きく異なりますが、一方で色や高いアルコール度数など共通点もあります。

本記事ではまず、様々な原料から造られるブランデーを紹介し、ウイスキーとの違いを解説します。
また、ウイスキーとブランデーが似ている点やその理由を明らかにしていきます。

ブランデーの特徴がわかるとともに等級などにも触れているので、たとえば家にあるブランデーがどんなものか知りたい、という方におすすめの内容となっています。

ウイスキー・ブランデー原料の違い

まずはウイスキーとブランデーの違いを、原料から見ていきましょう。

大まかにいってしまうと、ウイスキーの原料は穀物でブランデーの原料は果実です。

ブランデーの特徴であるフルーティーな香りは、主に原料に由来しています。

ウイスキーの原料とは

ウイスキーの原料は大麦や小麦、トウモロコシなどの穀物です。

原料になる条件はデンプンの豊富さなので、めずらしいところでは米やソバ、キヌアなども使われます。

穀類に含まれるデンプンは酵素の働きで糖分へと変化(糖化)し、糖分は酵母によりアルコールと炭酸ガスになります。

できたアルコールの度数を上げて樽で熟成させると、ウイスキーの完成です。

ブランデーの原料とは

ブランデーの原料はブドウやリンゴ、サクランボ、洋ナシなどの果実です。

原料になる果実は糖分が豊富なので、ウイスキーのように酵素による糖化は必要ありません。

含まれる糖分を酵母の働きでアルコールに変化させると、ワインなど果実酒ができあがります。

これらのアルコールの度数を高くして樽で熟成させると、ブランデーの完成です。

原料別にブランデーを見ていこう

ここからは原料別にブランデーを解説していきます。

ウイスキーにも大麦が原料のモルトウイスキー、小麦のウィートウイスキー、トウモロコシのコーンウイスキーなどがありますが、ブランデーにも様々な種類があるのです。

ブドウが原料のブランデー

最も一般的なブランデーは、ブドウを原料にしたものです。

主な生産地はフランスですが、イタリアやドイツ、スペイン、オーストラリア、日本など、世界中で製造されています。

原料がブドウのワインを作っているところには、ブドウ由来のグレープ・ブランデーがあると考えてよいでしょう。

【コニャックとアルマニャック】

フランス産のグレープ・ブランデーで高品質とされているのが、コニャック(Cognac)やアルマニャック(Armagnac)です。

前者は街の名称、後者は地方の名称に由来しますが、それぞれ原料や製法が厳しく定められており、勝手には名乗れません。次の表はコニャックとアルマニャックの代表的なメーカー名とつづりです。

コニャックの代表的なメーカー

ヘネシーHennessy
レミーマルタンRémy Martin
マーテルMartell
カミュCamus
クルボアジェCourvoisier
ポールジローPaul Giraud

アルマニャックの代表劇なメーカー

シャボーChabot
サンペSempé

コニャックやアルマニャックは原料として、白ブドウの品種「ユニブラン」を多く使用しています。

【熟成させないブランデー・グラッパ】

グラッパはイタリアで作られるブランデーですが、原料がワインの搾りかすであるところと、蒸留後に熟成させないものが多いところが特徴です。

リンゴが原料のブランデー

リンゴが原料のブランデーはアップルブランデーと呼ばれており、カルバドスがよく知られています。

章の最初の写真は「ポム・プリゾニエール 」で、瓶の中にリンゴが丸ごと入っていることで知られる、カルバドスの代表的な銘柄です。

フランス北西部・ノルマンディー地方で生産されており、蒸留されてカルバドスになる前のリンゴ酒はシードルと呼ばれます。

【アップルブランデーはニッカの礎】

「余市」や「竹鶴」などウイスキーで知られるニッカは、リンゴジュースを製造販売する会社としてスタートしています。

売れ残ったリンゴジュースを原料に製造したのがリンゴ酒やブランデーで、ウイスキー製造が軌道に乗るまでの貴重な収入源となりました。

アップルブランデーは、現在もニッカのラインナップのひとつです。

サクランボが原料のブランデー

サクランボが原料のブランデーはキルシュヴァッサーと呼ばれており、ドイツ南部やオーストリア、スイスで製造されています。

お菓子やカクテルに使われてるので、知っている方もいるでしょう。

スモモが原料のブランデー

スモモ(プラム)が原料のブランデーはスリヴォヴィッツと呼ばれており、中・東欧を中心に、イタリアやアメリカ、オーストラリアなどでも製造されています。

旅行のおみやげで購入した方もいるかもしれません。

洋ナシが原料のブランデー

洋ナシが原料のブランデーはオープストラーと呼ばれるほか、リンゴと併用してカルバドスにも用いられます。

多くのカルバドスにはリンゴのほか、原料に10〜30%の洋ナシが含まれています。

その他のブランデー

ほかにもイチゴやラズベリーといったベリー類を原料にしたものなど、さまざまなブランデーがありますが、ブランデーを名乗るものの中には果実以外が原料のものもあります。

【世界一のブランデーはブランデーじゃない?!】

フィリピンの「エンペラドール(Emperador)」は、世界で最も売れているブランデーとされる銘柄ですが、一部にはサトウキビ由来のアルコールが含まれており、日本ではブランデーの定義には当てはまりません。

「エンペラドール」はタイや中国、アメリカにも進出しているほか、日本でもネット通販などで購入できます。

ウイスキーとグレープ・ブランデーが似ているところ

ウイスキーとブランデーの原料の違いを見てきましたが、ここからはウイスキーとブドウが原料のグレープ・ブランデーの製造工程で似ているところを見ていきます。

アルコール度数の高さや色が似ているのは、製造工程が類似しているからです。

原料からできたお酒を蒸留して熟成し、組み合わせて出荷するところは、ウイスキーもグレープ・ブランデーも同じです。

蒸留方法

種類によって単式と連続、2種類の蒸留方法があるのは、ウイスキーとグレープ・ブランデーに共通しています。

【単式蒸留】

単式蒸留はポットスチルと呼ばれる、先端が曲がった円すい状の器機でおこなわれます。

単式蒸留のメリットは風味が損なわれにくいことで、デメリットは一度の蒸留で上げられるアルコール度数が少ないことです。

ウイスキーやブランデーに必要な度数まで上げるためには、単式蒸留を数度繰り返さねばなりません。

単式蒸留はモルトウイスキーやブランデー、特にコニャックで用いられます。

【連続蒸留】

連続蒸留はアルコール度数を上げるのに、蒸留を繰り返す必要はありません。

一度で十分なアルコール度数が得られます。

連続蒸留のメリットは手間や時間がかからずコストダウンできるところ、デメリットは風味が損なわれやすいところでしょう。

連続式蒸留はグレーンウイスキーやブランデー、特にアルマニャックで用いられます。

熟成方法

蒸留したお酒を樽の中で熟成するのも、ウイスキーとグレープ・ブランデーの多くに共通しています。

熟成で色や香り、アルコール度数が変化することや、長期間熟成したものほど高級とされること、樽の多くにホワイトオークが用いられることも同じです。

【長く熟成させればよいとは限らない】

とはいえ蒸留したお酒をただ長く保管していただけで、よいお酒になるとは限りません。

質が上がるのは熟成に耐えられるお酒(樽)だけで、大半は長期間熟成の前に出荷されてしまいます。

熟成に耐えられるかどうかは、ごく少量をテイスティングして判断します。

長期間の保管でおいしくなるワインは、ごく一部の高品質なものだけというのに似ていますね。

ブレンド方法

熟成が終わっても、そのままビン詰めして出荷されるわけではないのも、ウイスキーとグレープ・ブランデーに共通しています。

いずれも出荷されるボトルに合わせて、いくつもある原酒から選び、組み合わせてビン詰めされるのです。

たとえば「サントリー・山崎」なら、ふさわしい味になるようにブレンダーが原酒の組み合わせの指示を出しますが、ブランデーでも同じようなことがおこなわれています。

ウイスキー・ブランデー等級の違い

ブランデーには「VSOP」などの等級が設けられており、それを見ればどれくらいの期間熟成された原酒が使われているかわかります。

ウイスキーで等級に当たるのが熟成年数です。

たとえばラベルに「12年」とあるものは、熟成年数が12年以上の原酒を組み合わせたものとわかり、数字が大きくなるほど高級品だと判断できます。

【ウイスキーに増えつつあるNV・NA】

近年、ウイスキーでは熟成年数の表記がないボトルが増えており「NV(ノン・ヴィンテージ)」や「NA(ノン・エイジ)」と呼ばれています。

熟成年数の表示がなくなった理由は、主に原酒不足です。

たとえば「山崎・NV」は「山崎・12年」の後継として登場しましたが、12年以上熟成した原酒が不足して若い原酒を使わざるをえなくなったためと考えられます。

製造技術の進歩により、若い原酒でも相応以上の味や香りを実現できるようになったともとらえられますが。

ブランデー(コニャック)の等級

ブランデーの等級はウイスキーと異なり、熟成年数では表示されません。

下の表はコニャックで定められている等級です。上の写真は「ヘネシー・XO」ですが、表を参照すると、相当な高級品だとわかります。

アルマニャックにも、コニャックに似た等級のルールが定められています。

原酒の熟成年数等級
3年目以上★★★(スリースター)、VSなど
4年目以上Supérieur(スペリオール)など
5年目以上VSOP、Réserve(レゼルヴ)など
6年目以上Vieille Réserve(ヴィエイユ・レゼルヴ)など
7年目以上Napoléon(ナポレオン)、Héritage(ヘリテージ)など
11年目以上XO、Hors d’âge(オルダージュ)など

XOやオルダージュ以上の等級のボトルは、各メーカーが自由に名付けています。

ヘネシー「リシャール・ヘネシー」やレミーマルタン「ルイ13世」などは、XOなどを上回る最上級のボトルです。

本記事の一番上に掲載した写真のように豪華なデキャンタ入りで、いかにも高級そうな外箱に収められています。

【まだある高級ブランデー】

「ルイ13世」の特別版「ブラックパール」が全世界786本限定で販売されたのは、2007年のことでした。

メーカー希望小売価格は100万円でしたが、これをはるかに上回るものが存在するのがブランデーの恐ろしいところです。

ヘネシー家の5代目当主・キリアン・ヘネシーの生誕100周年を記念した「ボテ・ド・シエクル」は、100年ものなど25万樽ものから選びぬかれた原酒がブレンドされています。

2007年に全世界100本限定で発売され、お値段は2,625万円でした。どんな方が購入して、どんなタイミングで口にするのでしょう。想像するだけで楽しくなりますね。

【ナポレオンには要注意】

ボトルに「ナポレオン」とあるから、高級なブランデーに違いないと考えるのは早計です。

なぜなら等級とブレンドされる原酒の熟成年数にルールがあるのは、コニャックとアルマニャックくらいだからです。

ナポレオンの高級イメージを利用して、勝手に名乗るのはよくおこなわれてきました。

中には「ナポレオン・XO」など、よくわからない等級が付けられたブランデーもあるくらいです。

コニャックやアルマニャック以外の等級は、あまり信じるべきではないかもしれません。

ウイスキー・ブランデー楽しみ方の違い

「ウイスキーは味を楽しみ、ブランデーは香りを楽しむ」といわれており、果実由来の甘い香りはブランデーの大きな魅力です。

香りを損なわないようストレートで楽しむのがブランデーの基本、写真の女性が手にしているブランデーグラスを用います。

グラスの短めの脚を指にはさみ、底を手のひらで包むようにして持つと、ブランデーに体温が伝わりやすくなり、より香りが高まるでしょう。

【ブランデー様々な楽しみ方】

ブランデーはストレート以外にも、ウイスキーのようにオン・ザ・ロックや水割り、ソーダ割りなどでも楽しめます。

ブランデーベースのカクテルも多数考案されており、柑橘系の香りがさわやかな「サイドカー」や、クリーミーさと甘みで飲みやすい「アレクサンダー」などがよく知られています。

まとめ

ウイスキーとブランデーの違いや似ている理由、ブランデーの等級、楽しみ方などを解説してきました。

ウイスキーとくらべると楽しまれているイメージが薄いブランデーですが、少しでも親しみを持ってもらえたら幸いです。

また、家にあるよくわからないブランデーのメーカーや等級を、読み解く手助けになればとも思っています。

弊社「サケウル」では「ヘネシー」「レミーマルタン」などのコニャックや、「シャボー」などのアルマニャックを買取しています。ほかにも、由来がよくわからないブランデーも大歓迎です。

これからも口にする予定がないお酒をお持ちなら、ぜひ一度ご相談ください。

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