
投稿日:2025.04.07
「ウイスキーの原料は?」という問いは難しいものです。
なぜなら「ウイスキーはどんな原料から作られるか?」と「ウイスキーの味わいはどんな原料(原酒)で構成されているのか?」の二通りにとらえられるからです。
本記事ではまず、様々なウイスキーの元になっている原料を取り上げ、次にブレンデッドウイスキーやモルトウイスキー、世界5大ウイスキーを作っている原料(原酒)について解説しています。
読み進めればウイスキーが何からできているかがわかり、味や香りを深く楽しめるようになるでしょう。
ウイスキーの原料は穀物
ウイスキーは大麦や小麦、トウモロコシなどの穀物が原料です。
穀物が原料に使われるのはデンプンが豊富だからで、デンプンは酵素により糖分へと変わり、糖分は酵母によりアルコールに変化します。
これでお酒はできますが含まれるアルコールは少なく、とてもウイスキーとは呼べません。
蒸留により度数を高め、風味づけのために樽の中で熟成させて、やっとウイスキーが完成します。
原料によるウイスキーの種類
ウイスキーは原料に用いる穀物で、できあがる種類が変わります。
ここからは代表的なウイスキーを原料別に見ていきましょう。
モルトウイスキーは大麦が原料
近年「サントリー・山崎」などモルトウイスキーが大ブームですが、これらの原料は大麦です。
発芽した大麦(大麦麦芽=モルト)で作られるので、モルトウイスキーと呼ばれます。
原料に由来する、豊かな味や香りがモルトウイスキーの特徴です。
【モルトビールの原料も大麦】
モルトと聞いて「サントリー・モルツ」をイメージするかもしれませんが「モルツ」はビールです。
ウイスキー「山崎」などとは原料が大麦麦芽という点は同じですが、アルコール度数を高める蒸留や風味付けの熟成の工程がない点で異なります。
「モルツ」をそのまま蒸留・熟成しても「山崎」にはなりませんが、大麦麦芽を原料にしたビールのようなお酒を蒸留・熟成すれば、モルトウイスキーになると考えてください。
【アメリカのモルトウイスキーは要注意】
ウイスキーの定義は国により異なるため、しばしば注意が必要です。
たとえばモルトウイスキーは、日本などでは大麦麦芽を原料にしたウイスキーのことですが、アメリカでは異なります。
アメリカにおけるモルトウイスキーとは、大麦麦芽の原料に占める割合が51%以上のウイスキーのことです。
大麦麦芽が100%使われているものは、アメリカではシングルモルトウイスキーと定められており、こちらも日本などと異なります。
日本などにおけるシングルモルトウイスキーについては、後でくわしく述べているので、ぜひそちらも参照してください。
ウィートウイスキーは小麦が原料
日本ではなじみが薄いですが、ウィートウイスキーの主原料は小麦です。
アメリカで誕生したもので、小麦の原料に占める割合が51%以上と定められています。
バーボンなどアメリカの伝統的なウイスキーとくらべると、なめらかさやマイルドさを感じるのが特徴です。
「バーンハイム・オリジナル」「ミドル・ウエスト」「オールド・エルク」などが代表的な銘柄です。
コーンウイスキーはトウモロコシが原料
トウモロコシが主原料のコーンウイスキーも、主にアメリカで製造されています。
トウモロコシの原料に占める割合が80%以上であるところや、樽熟成が必ずしも必要ではないところがバーボンウイスキーとの違いです。
ちなみにバーボンウイスキーは、トウモロコシの原料に占める割合は51パーセント以上であり、内部を焦がした樽での熟成が必要とアメリカでは定められています。
樽熟成を経たコーンウイスキーは、独特の甘みがあるのが特徴で「プラット・バレー」「メロウ・コーン」などが知られていますが、中にはユニークなものもあり楽しみが広がります。
【ユニークなコーンウイスキー】
「ジョージアムーン」は、ほぼ無色透明でジャムのような広口ビン入りのユニークなウイスキーです。
色が付いていないのは30日間しか樽熟成がおこなわれていないからで、20世紀初めアメリカ・禁酒法時代の密造酒をイメージしています。
広口ビンが使われているのは、当時はありあわせのビンに入れて販売されていたからでしょう。
アメリカで密造酒は「ムーンシャイン」と呼ばれます。月明かりを頼りにこっそり造られるからですが、「ジョージアムーン」という名前も、そのことを連想させますね。
ライウイスキーはライ麦が原料
ライ麦パンは独特の風味や食感で人気ですが、ライ麦を主原料にしたウイスキーはライウイスキーです。
アメリカでは、ライ麦の原料に占める割合が51%以上と定められています。
特徴はライ麦パンにも通じる独特の風味ですが、銘柄によってはスパイシーさやまろやかさを感じるかもしれません。
「ワイルドターキー」「ジム・ビーム」「ジャックダニエル」など、著名なバーボンウイスキーの銘柄もライウイスキーをラインナップしているので、試して違いを実感してみましょう。
グレーンウイスキーは穀物が原料
グレーンウイスキーはトウモロコシやライ麦、小麦などの穀物が原料ですが、より特徴づけているのは連続式蒸留器を使用しているところです。
短時間でアルコール度数を高められるので大量生産に向きますが、風味が弱いのが特徴です。
【モルトが原料のグレーンウイスキー?!】
とはいえ近年では「ニッカ・カフェ・グレーン」や「サントリー・知多」など、連続式蒸留器を用いずに、原料の風味を大切にしたものも登場しています。
またスコットランド・ハイランド地方の「ロッホローモンド」は原料に大麦麦芽を100%使用していますが、蒸留法の違いからグレーンウイスキーと称しています。
グレンウイスキーに限ったことではありませんが、何ごとにも例外はつきものということで。
その他の原料を使ったウイスキー
大麦や小麦、トウモロコシなどが原料のウイスキーについて見てきましたが、デンプンが豊富な原料を使えばできてしまうのがウイスキーです。
米やソバ、キヌアといった、そのほかの穀物を使ったウイスキーも登場しています。
キヌアとはアンデス地方原産で、栄養の豊富さから日本にも愛好者がいることで知られています。
キヌアウイスキーはフルーツを思わせる味わいだとか。アメリカでは静かなブームです。
蒸留・熟成してもウイスキーは完成しない?!
ここまで「大麦麦芽などの原料からお酒を造り、蒸留・熟成すればウイスキーができる」とお話してきましたが、実はそれで完成するウイスキーはほとんどありません。
造られたウイスキーを原料(原酒)として組み合わせて、ようやく完成するのです。
ブレンデッドウイスキーはもちろんシングルモルトウイスキーさえも、原酒の組み合わせでできています。
ブレンデッドウイスキーの原料は?
原酒の組み合わせでできるウイスキーの代表はブレンデッドウイスキーです。
日本ではモルトウイスキーの影に隠れがちですが、世界的に見るとブレンデッドウイスキーの販売量はウイスキー全体の90%にのぼるほど。
モルトウイスキーより風味は弱まりますが、洗練された印象に仕上がります。
サントリーだけでも「響」「ローヤル」「オールド」など。スコッチウイスキーなら「ジョニーウォーカー」「バランタイン」「シーバスリーガル」などなど、ブレンデッドウイスキーは枚挙にいとまがありません。
日本やスコットランドなどでのブレンデッドウイスキーの原料(原酒)は、モルトウイスキーとグレーンウイスキーです。
モルトウイスキーの強い風味をグレーンウイスキーがやわらげています。
【アメリカのブレンデッドウイスキーの原料】
一方で、アメリカやカナダのブレンデッドウイスキーは事情が異なります。
アメリカではブレンデッドウイスキーを「バーボンなどのウイスキーに異なる酒類を組み合わせたもの」と定めているからです。
酒類にはウイスキー以外も含まれるので、たとえばバーボンとジンの組み合わせもブレンデッドウイスキーに分類され、それぞれが原料といえるでしょう。
【カナダのブレンデッドウイスキーの原料】
カナダではブレンデッドウイスキーは、個性の強いフレーバリング・ウイスキーと弱いベース・ウイスキーを組み合わせたものとされています。
前者は大麦などの麦類を、後者はトウモロコシなどを原料にしていますが、ワインやブランデーなどとの組み合わせもあるとか。
カナダのブレンデッドウイスキーの原料はフレーバリングとベースというふたつのウイスキー、場合によってはほかの酒類も原料です。
モルトウイスキーの様々な種類の原料は?
モルトウイスキーの原料は大麦麦芽ですが、ラベルをよく見ると、シングルモルトやピュアモルト、シングルカスクなどと書かれていることに気づきます。
これらの違いは、モルトウイスキーを構成する原料、つまり原酒の違いによるものです。
シングルモルトウイスキーの原料
日本やスコットランドなどでは、シングルモルトウイスキーは、ひとつの蒸留所で製造されたモルトウイスキーを組み合わせたものです。
したがってシングルモルトウイスキーの原料は、同じ蒸留所で製造されたモルト原酒になります。
たとえば「山崎」はサントリーのシングルモルトウイスキーですが、山崎蒸留所で造られたモルト原酒が組み合わされて、ビン詰めされています。
ピュアモルトウイスキーの原料
ピュアモルトウイスキーとは、シングルモルトウイスキーという言葉が一般的になる前に使われていた言葉、もしくは異なる蒸留所で作られたモルト原酒を組み合わせたものです。
前者の代表は2003年ごろまで流通していた「ピュアモルト・山崎」で、現在のシングルモルトと同じ意味で、後者は「ニッカ・ピュアモルト・竹鶴」になります。
したがって「ニッカ・竹鶴」の原料は、余市蒸留所と宮城峡蒸留所で造られたモルト原酒です。
シングルカスクやシングルバレルの原料
カスクとバレルはいずれも樽を指す言葉で、シングルカスクやシングルバレルはひとつの樽の原酒のみビン詰めしたウイスキーに用いられます。
したがって、シングルカスクやバレルの原料は、ひとつの樽の原酒です。
一般的なウイスキー原酒は樽ごとに風味のばらつきがあり、同じ銘柄で販売するのがためらわれるほどだとか。ばらつきを平均化させるために、シングルモルトなら同じ蒸留所の原酒を組み合わせます。
しかし、まれにほかとの組み合わせがもったいないほど、うまく熟成した樽も見つかることがあります。
これらがシングルカスクやシングルバレルとして販売されているのです。
カスクストレングスとは
カスクストレングスとは、樽からくみ出した原酒そのままのことです。
水が加えられていないのがシングルカスク(バレル)との違いで、アルコール度数は通常よりも高く55〜60%程度です。
つまりカスクストレングス以外、アルコール度数が40~43%くらいのウイスキーの原料には水が含まれていることになります。
とはいえ、仕込みの段階までさかのぼるならカスクストレングスも同じこと。ウイスキーにとって水は大切な原料です。
世界5大ウイスキーの原料とは
世界5大ウイスキーとは、スコットランド・アイルランド・日本・アメリカ・カナダで製造されているウイスキーのことですが、それぞれ性格に特徴があり原料も異なります。
今までと少し重複するところもありますが、整理もかねて見ていきましょう。
スコッチウイスキー
スコットランドで製造されるスコッチウイスキーは、主にモルト・グレーン・ブレンデッドの3種類に大別されます。
モルトウイスキーとグレーンウイスキーを原料にしたブレンデッドウイスキーは、スコットランドでも主流です。
アイリッシュウイスキー
アイルランドで製造されるアイリッシュウイスキーには、モルト・グレーン・ブレンデッドとは別にポットスチルウイスキーがあります。
未発芽の大麦を原料にしたポットスチルウイスキーは、モルトウイスキーほど風味の主張はないものの、グレーンウイスキーほど弱くはありません。
そのちょうどよさで、ファンが増えつつあるジャンルです。
ジャパニーズウイスキー
日本で製造されるジャパニーズウイスキーは、スコッチウイスキーをもとにしたものです。
モルトやグレーン、それぞれを原料にしたブレンデッドが楽しまれています。
アメリカンウイスキー
バーボンやウィート、コーン、ライなど数多くあるアメリカンウイスキーに、ほかの種類を加えるとブレンデッドウイスキーと呼ばれるのは、アメリカ独特の事情です。
カナディアンウイスキー
カナディアンウイスキーの多くはブレンデッドです。
フレーバリング・ウイスキーとベース・ウイスキーの組み合わせで作られています。
まとめ
モルトウイスキーなどウイスキーの種類別の原料や、ブレンデッドウイスキーなどを構成している原料について解説しました。
大麦などの穀物を原料にウイスキーができることや、それらの原酒が組み合わさりウイスキーとなることを知ると、いつもの味や香りがより深く感じられるはず。
ウイスキーのラベルや原材料表示の内容も、興味深くみえるでしょう。
原料に限らずウイスキーの奥深さを知ると、魅力に取りつかれてしまうかもしれません。
弊社「サケウル」では大麦麦芽を原料にしたモルトウイスキーや、トウモロコシが主原料のバーボンなどを買取しています。
好みではないウイスキーやずいぶん前にもらったウイスキーをお持ちなら、ぜひ一度ご相談ください。



