
投稿日:2025.07.28
スプリングバンク蒸留所が製造するボトルで、現在定価で購入できるものはほとんどなく、古いボトルの中には数100万円で取引されているものもあります。
本稿ではスプリングバンク蒸留所が製造する3つの銘柄の違いや、蒸留所独特の製造方法、高い人気の理由を解説しています。
あわせて、2025年現在の販売価格や高額で取引されているボトルを紹介しているので、コレクションを始める方にも役立つでしょう。
スプリングバンクの定価は1万円~(税別)

スプリングバンク蒸留所が製造するウイスキーの定価(希望小売価格)は、次の表の通りです。
| ボトル名 | 定価 |
| スプリングバンク10年 | 1万円 |
| スプリングバンク15年 | 1万5,300円 |
| ロングロウ | 9,200円 |
| ヘーゼルバーン10年 | 8,900円 |
これらの定価はスプリングバンクの輸入販売をおこなう、株式会社ウィスク・イーが定めたものです。
ウィスク・イーはスプリングバンク以外にもロックランザやキルホーマン、グレンアラヒーなど小規模で、こだわりの強い蒸留所のウイスキーを扱っています。
スプリングバンク蒸留所とは
スプリングバンクは1828年の設立以来の製造方法を守り、フロアモルティングからビン詰めまで、すべての工程を一貫して手掛けている、世界でもまれな蒸留所です。
スコットランドのウイスキー造りが盛んな地域の一つ、キャンベルタウンを代表する存在で、スプリングバンク、ロングロウ、ヘーゼルバーンという3つの銘柄を製造しています。
スプリングバンク
2.5回蒸留と呼ばれる、独特の製法で造られる銘柄です。
モルトの香水と評される華やかな香味の評判は、世界に広く知られています。
ロングロウ
スプリングバンク蒸留所に隣接していたロングロウ蒸留所の名前を冠した銘柄です。
ピート感の強いモルトを原料にしており、リッチな香味が特徴です。
ヘーゼルバーン
ニッカウヰスキーの創業者、竹鶴政孝が修行したという、かつてあった蒸留所の名前を持つ銘柄です。
ピート感のないモルトを原料にしており、ライトな香味が高く評価されています
スプリングバンクの販売価格は2万円程度~
スプリングバンク蒸留所が製造する3つの銘柄は、定価では購入できません。
次の表は価格ドットコムなどを参考にした2025年8月の販売価格ですが、いずれも定価を上回っているばかりか、スプリングバンクは2倍、ヘーゼルバーンは4倍以上で販売されています。
| ボトル名 | 販売価格 |
| スプリングバンク10年 | 2万1,400円~ |
| スプリングバンク15年 | 3万8,489円~ |
| ロングロウ | 1万2,980円~ |
| ヘーゼルバーン10年 | 3万9,750円~ |
スプリングバンクを定価で購入できない理由
独特の製法による生産量の少なさが、スプリングバンクを定価で購入できない主な理由ですが、それはそのままスプリングバンクの魅力でもあります。
ここからの解説を読むと、スプリングバンク蒸留所の銘柄を試したくなるかもしれません。
少量しか製造できないから
フロアモルティングやキルン塔での乾燥、2.5回蒸留など創業以来の製法を守り続けているため、スプリングバンク蒸留所は年間75万リットルのウイスキーしか製造できません。
サントリーの山崎蒸留所は年間600万リットル、知多蒸留所は年間5,400万リットルという製造量と比較すると、スプリングバンク蒸留所のウイスキーがいかに少ないかわかるでしょう。
【フロアモルティングとは】
モルトウイスキーの製造には、原料の大麦を発芽させる工程が不可欠ですが、作業には広いスペースが必要で手間がかかることから、多くの蒸留所は社外の業者に委託しています。
しかし、スプリングバンク蒸留所では、水に浸した大麦を床に広げて発芽させるフロアモルティングの工程を自社でおこなっているのです。
原料作りから手を抜かない、蒸留所の姿勢が感じられます。
【キルン塔とは】
大麦が発芽したら適当なところで乾燥をおこない、成長を止めなくてはなりません。
これをおこなう設備がキルン塔ですが、近年では乾燥まで終えた大麦麦芽を仕入れる蒸留所がほとんどで、使用しているところは数少なくなりました。
しかし、スプリングバンク蒸留所のキルン塔は現役です。
乾燥に用いるピートの量や用法を加減して麦芽の風味付けを変化させ、3つの銘柄が作れるのは、キルン塔のおかげといえるでしょう。
【2.5回蒸留とは】
通常のモルトウイスキーが2回から3回の蒸留をおこなうのに対し、スプリングバンクはどちらでもない、手間がかかる蒸留方法をとっています。
具体的には1回目の蒸留でできた液体を2つに分け、一方はそのまま2回目の蒸留にまわしますが、3回目の蒸留時に1回しか蒸留を終えていないもう一方を加えるのです。
蒸留を終えたニューポットには、2回蒸留をしたものと3回蒸留したものの両方が含まれるので2.5回蒸留と呼ばれおり、スプリングバンク独特の香味の元となっています。
ちなみにスプリングバンク蒸留所で造られているロングロウの蒸留回数は2回、ヘーゼルバーンは3回です。
ウイスキーは増産しにくいものだから
簡単に増産できないのが、ウイスキーというお酒です。
蒸留器の増設など設備投資のコストの大きさや、製法へのこだわりの強さは別にしても、ウイスキーの増産には時間がかかります。
なぜなら通常ウイスキーには樽熟成が必要で、増産した結果が出るのは熟成が終わる数年から数10年後になるからです。
現在はウイスキーブームに沸いているとはいえ、増産した結果が出るころにブームが続いているとは限らないのも、多くの蒸留所が増産に踏み切れない理由でしょう。
モルトウイスキーがブームだから
2010年ごろからのモルトウイスキーのブームが、スプリングバンクの人気を押し上げています。
国内でもサントリー山崎や白州、ニッカウヰスキー余市や宮城峡の入手が難しいのは、世界的なモルトウイスキーブームの影響です。
独特の香味や地域、蒸留所ごとの個性の強さが、モルトウイスキーがブームになっている理由ですが、スプリングバンクが製造する銘柄も、香味や個性の強さでほかに劣りません。
昔からのファンはもちろん、今までスプリングバンクを知らなかった方も、試してみたいと思うのは当然のことでしょう。
キャンベルタウンモルトが人気だから
モルトウイスキーブームに伴う、地域色の強い銘柄を楽しみたいというニーズに、キャンベルタウンモルトはマッチしました。
しかし、蒸留所の数が少なくニーズに応えきれていません。
キャンベルタウンにある蒸留所のモルトウイスキーは少々の塩味で人気です。
海に面した地域であり潮風の影響を強く受けることがその理由ですが、かつては30以上あった蒸留所で現在も操業しているのはスプリングバンクとグレンガイル、グレンスコシアだけです。
キャンベルタウンモルトの製造量の少なさは、スプリングバンクなどの銘柄の高騰を招いています。
スプリングバンクの買取相場は1万円程度

2025年8月現在、スプリングバンク蒸留所がレギュラーで製造しているボトルの買取相場は以下の通りです。
定価を大きく超える販売価格と比べて低いと感じる方もいるかもしれませんが、販売価格と買取相場は別物です。
販売価格はWebショップなどの販売店が自由に付けられるもので、売れたらラッキー的な値付けも含まれています。
一方で、買取相場は実際の取引価格をもとにしており、販売価格と性格が大きく異なるのです。
さらに日々変動する買取相場と、ボトルの状態や付属品の有無、自社の在庫などの総合的な判断で決まる買取価格も異なります。
最新の買取相場や買取価格は、弊社サケウルまでお気軽におたずねください。
| ボトル名 | 買取相場 |
| スプリングバンク10年 | 1万円程度 |
| スプリングバンク15年 | 2万円程度 |
| ロングロウ | 5,000円程度 |
| ヘーゼルバーン10年 | 1万5,000円程度 |
高額で落札されたスプリングバンク・ベスト5
レギュラー販売されているボトルの買取相場が販売価格相応のものである一方で、高いものは数100万円で取引されているのがスプリングバンクです。
蒸留年が古いものほど高い値段が付く傾向にあるのは、長い歴史ゆえでしょう。
弊社サケウルでも次から紹介するようなボトルは大歓迎ですが、高額なものゆえ査定に時間をいただくかもしれないことをご了承ください。
12年・サマローリ・57.1% 357万7,500円
イタリアのビン詰め業者・サマローリが1960年代に販売したボトルで、57.1%という通常のスプリングバンクにはないアルコール度数の高さが特徴です。
ラベルには冷却濾過をおこなっていない旨も記されています。
ザ・カウントダウン・コレクション・2023 145万3,000円
2028年の創業200周年に向けて、毎年1本ずつ販売されているシリーズの最初のボトルで、
2023年に500本限定で抽選販売されました。
ボトルには証明書とミニボトルが付属しています。
リミテッドエディション50年 140万3,000円
スプリングバンクの最高峰かつ、希少価値も高いボトルです。
リミテッドエディションは今までに25年、30年、35年、40年、45年そして50年の6種類が販売されました。
シェリーカスク・1966-1990 117万5,700円
1966年に蒸留、1990年にビン詰めされた、24年もののシングルカスクです。
60.7%とアルコール度数が非常に高く、ラベルにはカスクナンバーとボトルナンバーが記されています。
30年・1962 1,013,000円
1962年蒸留の30年もので、当時の輸入元である木下商事のステッカーが貼られています。
スプリングバンク30年は2025年現在、正規の輸入はありませんが、本国では895ポンドで販売されており、並行品は47万円です。
高額で落札されたロングロウ・ベスト5
1824年に設立されたロングロウ蒸留所が、閉鎖・解体されたのは1896年のことでした。
スプリングバンク蒸留所がピート香の強いウイスキーの生産を開始したのは1973年のことで、1985年からロングロウの銘柄で販売しています。
ベスト5の多くを占めるのは、サマローリやムーンインポートなど、独立系ビン詰め業者が販売したボトルです。
サマローリ・1987-1999 30万2,000円
西暦2000年を記念して、イタリア・サマローリ社が販売したボトルです。
アルコール濃度が55%のシングルカスクで、手書きラベルが所有欲をくすぐります。
ムーンインポート・1973-1990・ザ・バーズ 30万円
2015年に廃業した、イタリア・ムーンインポート社によりビン詰めされたボトルです。
ムーンインポート社のほかのボトルと同じように、名称にちなんだ美しいラベルがあしらわれています。
1973-1990 27万5,000円
1973年に蒸留され1990年に販売されたボトルですが、1973年はスプリングバンク蒸留所が、ピート香の強いウイスキーを初めて生産した年です。
そのことを表すかのように、ボトルには現在と同じ蒸留所のイラストが描かれています。
ムーンインポート・1987-1999・ドリームス 26万3,888円
「ドリームス」と名付けられた、ムーンインポート社のボトルで、ラベルやケースに名称を象徴するかのような、美しい凧が描かれています。
ケイデンヘッド・オーセンティックコレクション・1974-1992 26万円
スコットランド最古のビン詰め業者、ケイデンヘッドの創業150周年を記念したボトルの一つです。
ロングロウ以外にアードベックやローズバンク、グレンモールなど40種類以上が販売されており、いずれも高値で取引されています。
これからの銘柄・ヘーゼルバーン
80年ほど前に閉鎖した蒸留所、ヘーゼルバーンがスプリングバンクの銘柄として復活したのは2005年のことで、歴史はそれほどありません。
それだけに高額のボトルはなく、1997年に蒸留され2009年にビン詰めされた12年ものが、1万円で取引されているくらいです。
ヘーゼルバーンはこれからの銘柄といえるかもしれません。
まとめ
長い歴史を持つスプリングバンクは創業以来の製法を守り、すべての工程を自社内で手掛ける世界でもまれな蒸留所です。
製造本数も少ないため定価で購入できるボトルがないばかりか、古いボトルを中心に驚きの価格で取引されているのです。
弊社サケウルでは、スプリングバンクが製造する3つの銘柄を高価買取しています。
レギュラーラインナップのボトルはもちろん、プレミア付きのオールドボトルも大歓迎なのでお気軽にお問い合わせください。



