
投稿日:2025.05.08
ワールド・ウイスキー・アワード(WWA)・2025の結果から実感するのは、ウイスキーの産地が世界中にあり、特色あるウイスキーを製造していることです。
ウイスキーの産地ではスコットランド、アイルランド、アメリカ、カナダ、日本という5大産地をイメージしがちですが、これらに含まれないところでも、個性豊かなウイスキーが造られています。
あわせて忘れてはならないのが、巨大な人口とウイスキーファンを抱えるインドと中国です。
特に中国では、ディアジオ社やペリノ・リカール社が投資をおこない、本格的なウイスキーの製造がスタートしています。
ワールド・ウイスキー・アワード(WWA)とは?
WWAの結果は、知られざる産地のボトルや銘柄、蒸留所を教えてくれます。
WWAとは年に一度、イギリスで開催されるウイスキーのコンテストです。
2025年は世界46地域、1,700以上のボトルを集めておこなわれ、最高賞として23のボトルが決定しました。
ここからは最高賞に輝くボトルを元に、5大ウイスキー産地以外に立地する、蒸留所を紹介していきましょう。
知られざる産地・北欧の蒸留所
| 部門 | 国 | 蒸留所 | ボトル |
| シングルカスク・シングルモルト | スウェーデン | ハイコースト | ディスティラリー・エクスクルーシブ・No.11 |
| シングルカスク・シングルライ | デンマーク | スタウニング | スモークドライ・バージンカスク・#1359 |
| ウィート | デンマーク | チューウイスキー | ヘリテージウィート |
ウイスキー産地としての歴史こそ浅い北欧ですが、WWA・2005では3つのボトルが最高賞に輝くなど、力のある蒸留所が見られます。
受賞したところだけでなく、北欧には世界最北端の蒸留所ことノルウェー・オーロラスピリットなどもあり、マニア注目のウイスキー産地です。
【スウェーデン・ハイコースト蒸留所】
ひとつの樽からのシングルモルトが評価されたのは、スウェーデンのハイコースト蒸留所です。
スカンジナビア半島は夏・冬、昼・夜の大きな寒暖差で知られていますが、ことさら激しい地域にあるのがハイコースト蒸留所だとか。
寒暖差の大きさでウイスキー樽への浸透や樽からの溶出が大きくなり、熟成によい影響を与え、WWAの評価につながりました。
【デンマーク・スタウニング蒸留所】
アメリカの印象が強いライ麦のウイスキーですが、高い評価を得たのはデンマークの蒸留所でした。
9人のウイスキー愛好家により2005年にスタートしたスタウニング蒸留所は、地元産の原料や自社内でのモルティングにこだわっています。
ヨーロッパでは珍しいライウイスキーで評価を高め、現在はモルトウイスキーもレギュラーラインナップしています。
【デンマーク・チューウイスキー蒸留所】
小麦が原料のウイスキーもアメリカのものというイメージですが、ウィートウイスキーは、デンマーク・チュー蒸留所のボトルが受賞しました。
ステンホルム一家が経営するチュー蒸留所は、すべての工程を自社でおこなっているばかりか、使用する原料のすべてを自家栽培しています。
有機栽培された大麦は高品質で、ほかの醸造所や蒸留所に出荷されるほど。
今回は小麦での受賞でしたが、モルトやライでの受賞も期待されます。
知られざる産地・ヨーロッパ大陸の蒸留所
| 部門 | 国 | 蒸留所 | ボトル |
| シングルカスク・シングルグレーンウイスキー | ドイツ | ノースオフ | ウェストファリアン2012 |
| ウイスキーデザイン | フランス | アルフレッドジロー | オディッシー |
ブランデーで知られるヨーロッパ大陸でも、ウイスキーは盛んに製造されています。
たとえばドイツの蒸留所の数はスコットランドを上回るほどで、一大産地ともいえるでしょう。
世界的に知られていないのは、小規模なものが多くほとんど地元で消費されてしまうからだとか。
ブリテン諸島に負けないポテンシャルを持つウイスキー産地が、ヨーロッパ大陸といえそうです。
【ドイツ・ノースオフ蒸留所】
グレーンウイスキーのシングルカスク部門で受賞したのは、ドイツのノースオフ蒸留所です。
立地するハルトロップは交通の要衝として栄えており、古くから農業が盛んでした。
1787年に設立された蒸留所では200年以上もの間、自身で育てた穀物を元に蒸留酒の製造を続けており、多数のアイテムをラインナップしています。
ウイスキーではウェストファリアン、モルトディスティレート、1787が主な銘柄です。
【フランス・アルフレッドジロー蒸留所】
フランスのアルフレッドジロー蒸留所は、美しいボトルとトランク型のボックスでデザイン賞を獲得しました。
創業者はコニャック製造に100年以上たずさわってきたジロー家の5代目で、蒸留酒を知りつくした一族によるウイスキー蒸留所といえるでしょう。
熟成や加水にコニャックの影響が見られるウイスキーは、プレミアムと呼ぶのにふさわしい味わいで、パッケージはもちろん中身でも大注目の存在です。
知られざる産地・アフリカの蒸留所
| 部門 | 国 | 蒸留所 | ボトル |
| ブレンデッドウイスキー | 南アフリカ | ジェームス・セジウィック | スリーシップス・バーボンカスク |
残念ながらアフリカは、蒸留所の数はそれほどでもありません。
ロトコやコニャーギ、アラックなど、地域性が豊かな蒸留酒があり、ウイスキーが入り込む余地がなかったのでしょう。
とはいえウイスキーの製造量はゼロではなく、WWA・2025では激戦区・ブレンデッドウイスキーの受賞ボトルを生み出しています。
【南アフリカ・ジェームス・セジウィック蒸留所】
アフリカ大陸にある唯一の商用蒸留所とうたっているのは、1886年に創業したジェームス・セジウィック蒸留所です。
製造中の銘柄はグレーンウイスキーのベインズ・ケープマウンテンと、スリーシップスで、WWA・2025以外にも多数の国際的なコンテストで高い評価を受けています。
ふたつの銘柄は大手酒販店・やまやで販売しているので、目にしたことがある方もいるかもしれません。
知られざる産地・ベトナムの蒸留所
| 部門 | 国 | 蒸留所 | ボトル |
| ニューメイク&ヤングスピリッツ | ベトナム | ヴェ・デ・ディ | ペールエールマッシュ |
輸入銘柄を中心にウイスキー人気が高まるベトナムで、唯一のモルトウイスキー蒸留所がWWA・2025で高評価を受けました。
もち米やうるち米を原料にした蒸留酒造りが盛んなベトナムで、さらなるウイスキー蒸留所ができるのか楽しみです。
【ベトナム・ヴェ・デ・ディ蒸留所】
ベトナム唯一のモルトウイスキー蒸留所が目指すのは、国内と世界両方の評価を勝ち取ることだとか。
ウイスキー愛好家が急増中のベトナムで、ヴェ・デ・ディ蒸留所は良質なモルトウイスキーの製造に取り組んでいます。
今回は熟成3年未満のウイスキーが対象の、ニューメイク&ヤングスピリッツでの受賞ですが、歴史を重ねることで、ほかの賞も狙えるポテンシャルを持つ蒸留所です。
5大ウイスキー産地のWAA受賞ボトル
知られざる産地の蒸留所がWWA・2025で好成績を収める一方で、5大ウイスキー産地が獲得したのは全22部門中16。
受賞した蒸留所やボトルからは、それぞれの産地の特色や潮流が読み取れるものとなっています。
ここからは5大ウイスキー産地の中から、特に興味深い蒸留所やボトルを紹介していきましょう。
ウイスキー5大産地・スコットランド
| 部門 | 蒸留所 | ボトル |
| シングル・モルトウイスキー | グレンアラヒー | 12年 |
| ブレンデッド・モルトウイスキー | イングリッシュ・ウイスキー・カンパニー | グレイトドラムス・キャンベルタウン |
ウイスキー誕生の地・スコットランドは、シングル・モルトとブレンデッド・モルトの両方で受賞ボトルを輩出して貫禄を見せました。
グレンアラヒーはスペイサイドの独立系蒸留所、グレイトドラムス・キャンベルタウンは同地の蒸留所のモルトをバッティングしたものです。
イングリッシュ・ウイスキー・カンパニーはイングランドに蒸留所を所有しているほか、今回の受賞のようにボトラーとしても活動しています。
ウイスキー5大産地・アイルランド
| 部門 | 蒸留所 | ボトル |
| グレーンウイスキー | パワーズコート | ファーカレン15年 |
| ポットスチルウイスキー | レッドブレスト | 27年 |
アイルランド独特の蒸留方法、ポットスチルウイスキーでの受賞を当然のように感じる一方で、注目は高級銘柄・ファーカレンを生み出すパワーズコート蒸留所でしょうか。
2018年にオープンした新しい蒸留所ですが、シングルモルトや見学ツアーの充実ぶりで評判となっており、今回はグレーンウイスキーでの受賞となりました。
ウイスキー5大産地・アメリカ
| 部門 | 蒸留所 | ボトル |
| スモールバッチ・シングルモルトウイスキー | アンダルシア・ウイスキー・カンパニー | ストライカー・ハークマデイラ・カスクフィニッシュ |
| フレーバード・ウイスキー | ヘリテージ | ココアボム・チョコレート |
WWA・2025でアメリカは9部門で大賞を獲得しており一大産地の面目を保っていますが、多くがバーボンやテネシーウイスキーに関する部門で意外性はありません。
一方で面白みを感じたのが、上の2つの銘柄です。
スモールパッチ・シングルモルトウイスキーやフレーバード・ウイスキーでは、それぞれ小規模なクラフトウイスキー蒸留所が受賞。
アメリカの産地としての強さと同時に、奥深さを感じさせます。
ウイスキー5大産地・カナダ
| 部門 | 蒸留所 | ボトル |
| カナディアン・ブレンデッドウイスキー | カナディアンミスト | コリンウッド・ダブルバレル |
| ライウイスキー | アローウッド | グレーンヘンジ |
よく知られた銘柄、カナディアンミストを手掛ける蒸留所は、個性的なボトルを持つ銘柄・コリンウッドで受賞しました。
アルバータ州・アローウッド蒸留所は、地元産の穀物をロッキー山脈の雪解け水で仕込む、小規模な生産者です。
毎年、クラフトウイスキーの活躍が目立つWWAですが、カナダの受賞者も同様の結果となっています。
ウイスキー5大産地・日本
| 部門 | メーカー | ボトル |
| ブレンデッドウイスキー・リミテッドリリース | ベンチャーウイスキー | イチローズモルト&グレーン ブレンデッドジャパニーズウイスキー2025 |
日本国内からの受賞は、ご存じイチローズモルトのボトルです。
特徴は羽生と川崎、2つの閉鎖された蒸留所の原酒を用いているところで、プレミアム性の高いブレンデッドウイスキーとして評価されました。
川崎蒸留所はメルシャン株式会社が過去に所有しており、グレーンウイスキーを製造していたことで知られています。
知られざるウイスキー産地・インドと中国
WWA・2025を受賞した蒸留所から、知られざるウイスキー産地やウイスキー5大産地を見てきましたが、ここからはウイスキー大国・インドと中国についてです。
インドは世界で一番売れているウイスキーの産地という点で、中国は本格的なウイスキー生産が始まった点で、いずれも見過ごせない存在です。
忘れてはならないウイスキー産地・インド産
| 順位 | 銘柄 | 生産地 | 売上(9lケース) |
| 1 | マクダウェルズ・ウイスキー | インド | 3,140万 |
| 2 | ロイヤルスタッグ | インド | 2,790万 |
| 3 | オフィサーズ・チョイス | インド | 2,340万 |
| 4 | インペリアルブルー | インド | 2,280万 |
| 5 | ジョニーウォーカー | スコットランド | 2,210万 |
| 6 | ジムビーム | アメリカ | 1,700万 |
| 7 | サントリー・角瓶 | 日本 | 1,580万 |
蒸留酒の専門誌・スピリッツ・ビジネスに掲載された「世界で売れているウイスキーランキング・2024年」によると、上位4銘柄はインド産。
いずれも、世界で最も売れているウイスキーことジョニーウォーカーを上回っています。
インド産ウイスキーの多くはサトウキビを原料にしており、穀物が原料と定義されている国ではウイスキーに分類されないなど、ランキングに異論を挟みたくなる方も多いでしょう。
とはいえ、イギリスの植民地時代が長かったインドでウイスキーが愛されているのは事実。
近年ではアルムット蒸留所など、本格的なモルトウイスキーを製造するところも登場しています。
インドはウイスキー産地として、忘れてはならない存在なのです。
本格化するウイスキー生産・中国
茅台酒など蒸留酒を伝統的に好む中国でも、近年、ウイスキー熱が高まっています。
たとえば、ディアジオ社とペリノ・リカール社が、それぞれ巨費を投じてオープンさせたのは、雲南省・雲拓蒸留所と福建省・叠川蒸留所。
後者の銘柄・叠川は2万円前後の高額品ながら、好評をもって迎えられました。
また、すでに評価を確立しているのは、台湾・カヴァランや福建省・大芹蒸留所。
いずれも国際的なウイスキー賞に輝くボトルを発表しています。
まとめ
WWA・2025の結果は新たなウイスキー産地や、5大ウイスキー産地を知るのに役立ちます。
北欧やヨーロッパ大陸、アフリカなど、意外な地域で本格的なウイスキーが造られていることや、スコットランドやアメリカなど、ウイスキー造りが盛んな地域のトレンドがわかるのです。
また、インドと中国という2大産地も忘れてはなりません。
生産量でインド、巨大資本の動向で中国は見逃せない存在で、近い将来、より存在感が大きくなるでしょう。
オーストラリアやブラジルなど、ここでは紹介し切れなかったウイスキー産地はまだまだあります。
地域色豊かな蒸留所や銘柄を知ることで楽しみが広がるものですが、中にはマイナーなウイスキーを前にとまどっている方もいらっしゃるかもしれません。
ご自宅では消費しきれないウイスキーをお持ちなら、ぜひ弊社にご相談ください。
お酒専門の買取業者「サケウル」にはウイスキーの専門家がそろっており、マイナーな産地のものも正当に評価いたします。



